高プロラクチン血症と妊娠の関係

こんにちは、サクラダ治療室 代表の前田です🌸

血液検査で「プロラクチンが高いですね」と言われると、多くの方がまず「それって不妊の原因なんですか?」と不安になります。

プロラクチンは本来、母乳をつくるためのホルモンです。産後にこのホルモンが高いことで母乳が出やすくなり、同時に排卵もしにくい=産後は妊娠しにくい状態が自然に作られます。とても大事な働きです。

ただ、まだ妊娠していない段階でプロラクチンが高すぎる状態(高プロラクチン血症)が続くと、排卵が遅れたり、高温期が安定しなかったり、タイミングが合っているはずなのに妊娠が続きにくい…と感じる原因になることがあります。

ここで大事なのは「数値が高い=もうだめ」ではないこと。

ストレスや睡眠不足、首肩の緊張など、体が“ずっと戦闘モードで休めていない”だけで一時的にプロラクチンが高くなっているケースも多く、これは整えていけるところがたくさんあります。逆に、医療機関にしっかり診てもらったほうが安心なタイプもあります。

この記事では、

  • プロラクチンが高いと何が起こるのか
  • なぜ高くなるのか
  • 何を整えていけばいいのか
    を、専門用語をできるだけ少なくしてまとめました。

「数字だけで落ち込んだ」そんな方に見ていただきたいページになります

是非ご覧ください✨

【目次】

  1. プロラクチンとは?
     1-1. そもそもどんなホルモン?
     1-2. なぜ妊娠準備中は高すぎると困るの?
  2. 高プロラクチン血症になると起こりやすいこと
     2-1. 排卵が遅れる / しにくくなる
     2-2. 高温期(黄体期)が安定しない
     2-3. タイミングは合っているのに妊娠が続かないと感じる理由
  3. こんなサインがあったらチェックしたい
     ・生理周期の乱れ
     ・基礎体温のガタつき
     ・胸の張りや分泌
     ・イライラ・浅い睡眠
  4. プロラクチンが高くなる主な原因
     4-1. 医療的にチェックが必要なケース
     4-2. ストレスや睡眠不足など機能的に上がるケース
  5. 数値だけで決めつけないための4つの確認ポイント
     ・本当に“いつも高い”のか?
     ・甲状腺はどうか?
     ・薬・サプリは影響していないか?
     ・身体がずっと“戦闘モード”になっていないか?
  6. 改善をするための考え方
     6-1. 医療で行うこと
     6-2. 日常でできること
  7. サクラダ治療室からのメッセージ

プロラクチンとは?

1-1. そもそもどんなホルモン?

プロラクチンは脳の下垂体から分泌されるホルモンで、もともとは「母乳をつくるサイン」を出す役目です。産後はプロラクチンが高いことで母乳が出やすくなり、同時に排卵が止まりやすくなります。これは自然な“産後は体を回復させる期間”という仕組みでもあります。

1-2. なぜ妊娠準備中は高すぎると困るの?

まだ妊娠していない段階でプロラクチンが高すぎる状態(高プロラクチン血症)が続くと、排卵や着床準備のホルモンバランスにブレーキがかかることがあります。

具体的には、脳から出るFSH(卵を育てるホルモン)やLH(排卵を起こすホルモン)が抑えられやすくなる → 卵が育ちにくい/排卵が遅れる/そもそも排卵しない周期が出る…といった変化が起きやすくなります。

高プロラクチン血症になると起こりやすいこと

2-1. 排卵が遅れる / しにくくなる

排卵は、脳→下垂体→卵巣というホルモンのリレーで起こります。プロラクチンが高すぎると、このリレーのスタート地点(脳からの指令)が弱くなるので、卵胞が育ちにくくなったり、排卵が遅れたりします。

「生理は来ているけど、排卵していない周期がある」と言われる方も、ここの可能性が考えられます。

2-2. 高温期(黄体期)が安定しない

排卵後には黄体という組織ができて、内膜をふかふかに保つためのプロゲステロン(黄体ホルモン)を出します。プロラクチンが高いと排卵自体が不安定になりやすく、その結果として黄体の形成自体が安定しないことがあります。

・高温期が短い
・高温期の途中で体温がガクッと落ちる
といった「高温期の不安定さ」は、この黄体の形成の不安定さから来ることがあります。

2-3. タイミングは合っているのに妊娠が続かないと感じる理由

排卵やホルモン分泌が不安定だと、「受精卵が来たタイミング」と「子宮側の受け入れ準備」のタイミングがズレる場合があります。

つまり、
「ちゃんとタイミングはとってるのに結果につながらない」
「化学流産が続く感じがある」
と感じる背景に、プロラクチンが関わっているケースもある、というイメージになります。
※もちろん年齢や卵の質、子宮内環境など他の要因も同時に関わります。

こんなサインがあったらチェックしたい

すべてがプロラクチンによる影響ではありませんが、よく一緒に出やすいサインを挙げます。

  • 生理周期が長い(35日以上になりがち)
  • 生理がこない月がある
  • 基礎体温が二相にならない / ガタガタして読みにくい
  • 高温期が短い、10日前後で落ちる
  • 産後ではないのに胸が張りやすい・乳汁のにじみがある
  • イライラ、不安感が強い、眠りが浅い、夜中に何度も起きる

後半の「イライラ・浅い睡眠」は、ホルモンそのものというより“体がずっと緊張しっぱなしになっているサイン”正に自律神経の乱れと連動して一緒に現れることが多いです。

プロラクチンが高くなる主な原因

4-1. 医療的にチェックが必要なケース

これは医療機関で見てもらうべき領域です。

  • 下垂体腺腫(プロラクチノーマなど、プロラクチンを作りすぎる良性腫瘍)
  • 一部のお薬の影響(ドーパミンの働きを抑えるタイプの薬など)
  • 甲状腺機能低下(TSHが高いなど、甲状腺のバランスが崩れている場合)

この場合は「様子見でいいよね」ではなく、専門的な評価や投薬が必要になることがあります。ここは遠慮なく病院の力を借りてください。

4-2. ストレスや睡眠不足など機能的に上がるケース

妊活中の方でとても多いのはこちらです。

  • 強いストレスやプレッシャーが続いている
  • 寝不足、もしくは眠りが浅い状態が続いている
  • 首~肩~胸の前が固まっていて呼吸が浅い
  • 採血そのものに緊張して、その瞬間だけ上がってしまった

これは「体がずっと戦闘状態、今を頑張って生きている」というようなサインでもあります。
= 妊娠することよりも“今を生き延びること優先”というモードに入っている、ということ。

こちら状態の方は、自律神経から整えていくこと非常に大事になります。

数値だけで決めつけないための4つの確認ポイント

その数値、毎回そう?
採血の時の緊張や寝不足でも一時的に上がります。1回の数値で「私はダメなんだ」ではなく「こうなることもあるのか」のように余裕を持つことも大事になります。

甲状腺(TSHなど)はどう?
甲状腺の状態は月経・排卵リズムに直結するので、ここは医療のサポートも大事な部分となります。

薬・サプリの影響は?
服用中の薬が原因のこともあります。自己判断でやめず、必ず医師に共有してください。「飲んでるもの全部リスト化して伝える」ことも場合によっては大切になります。

交感神経過緊張モードになっていない?
肩が上がりっぱなし、呼吸が浅い、夜になっても眠れず、寝ても途中で起きてしまう。
これは脳が「今は妊娠どころじゃない」と判断して、生殖系ホルモンを抑える方向に行きやすい状態です。

改善をするための考え方

6-1. 医療で行うこと

  • 必要に応じて、プロラクチンを下げる薬(ドーパミン作動薬など)が使われることがあります。
  • 数値が高い状態が続く場合、下垂体の検査などで原因を確認することもあります。

これは病院でしかできないアプローチなので、「相談していいのかな」と遠慮せず、むしろ相談したほうが良いので、ぜひ相談していきましょう。

6-2. 日常でできること

今日からでも少しずつ始められることを紹介していきます。

  • 寝る前2時間は“脳の休息モード”に入る習慣を作る(スマホ見ることや、仕事の思考から離れる時間をつくる)
  • 首・肩・胸をゆるめる体操、深呼吸を意識する(交感神経の緊張を落とす)
  • コーヒー+甘いもの摂取が中心にならないように気をつけ、血糖値の乱高下を減らす
    → 血糖の乱高下は「ストレスホルモン」を不安定にし、性ホルモンが後回しになりやすい
  • 「朝起きたときから肩が固まっていない状態」「ちゃんと寝た感がある朝」を増やしていく

鍼灸などのケアでは、いきなり「卵巣だけ」にアプローチするのではなく、この“常に戦闘モードになっている体”から“休める体”を作ることも重要視しています。それは単にリラックスしてほしいからだけではなく、ホルモンのリズムそのものを戻していく目的があります。

🌸サクラダ治療室からのメッセージ

プロラクチンは本来とても大事なホルモン。産後の授乳には欠かせません。でも、妊娠準備の段階では高すぎると、排卵や高温期の安定にブレーキがかかることがあります。しかし「高い」と言われても、それだけで妊娠をあきらめる必要はまったくありません。むしろ、「なぜ高いのか?」そこの理由を考えるところからがスタートとなります。医療でみるべきところと、日常で整えられるところは両方あり、どちらも非常に大切になります。

あなたの体は怠けているのではなく、「今の状況を守ろうと必死に頑張っている」そういった状態なのです。そこに「もう大丈夫だよ、休んでいいよ」という環境作りをしていくことこそが、妊娠することの準備はなり、最短の近道となってくれます。