多囊胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されたら?生理が来ない理由・妊娠できるのか・排卵誘発から体外受精までの進み方を解説

こんにちは、サクラダ治療室の前田です🌸
生理が2か月、3か月と来ない。婦人科で超音波を見た先生から「卵巣に小さな卵胞がたくさん並んでいますね」と言われ、多嚢胞性卵巣症候群という名前を告げられる。聞いたことのない病名で、その場では質問も出てこなかった。よくいただく相談です。

先に結論から

・PCOSは、卵が足りないのではなく、育ちかけた卵が育ちきらない状態
・診断は3つの条件で見る。超音波の所見だけでは決まらない
・排卵を起こせれば妊娠は成立する。治療は段階的に上げていく
・体外受精ではOHSSに注意し、全胚凍結が選ばれることがある

帰ってから検索して、もっと不安になった方が多いと思います。

PCOSは、妊活をしている方のなかでは決して珍しくない診断です。そして排卵さえ起これば、妊娠はふつうに成立します。「卵がない」わけではないんです。育ちかけた卵が、最後まで育ちきらない。そこが起きていることです。ここを取り違えると、必要以上に絶望することになります。

診断の中身、生理が止まる理由、治療がどう進むのか、そして体の側で整えられることを順に整理します。診断と治療方針は主治医の判断が最優先です。この記事は、診察室で質問するための下地として読んでください。

PCOSとは|卵は育ち始めるのに、最後まで育ちきらない

卵巣のなかでは毎周期、たくさんの卵胞が育ち始めます。ふつうはそのなかから1つだけが主役に選ばれ、大きく育って排卵します。残りは役目を終えて消えていきます。

PCOSでは、この「1つを選ぶ」段階が進みにくくなります。育ち始めた卵胞が途中の大きさのまま卵巣に並んで留まり、超音波で見ると小さな粒がネックレスのように連なって見えます。これが多嚢胞性卵巣と呼ばれる所見です。

つまり卵が枯れているのではなく、むしろ順番待ちが渋滞している状態です。AMHが低いと言われる方とは、事情がまったく違います。

診断|3つの条件がそろって初めてPCOSと呼ぶ

日本の診断は、おおむね次の3つの軸で見ています。

見るところ内容
月経の状態生理が来ない、周期が長い、排卵していない周期がある
卵巣の見え方超音波で小さな卵胞が多数並んで見える
ホルモンの値男性ホルモンが高い、あるいはLHとFSHのバランスが崩れている

ここは勘違いされやすいところなんですけど、超音波で粒が並んで見えるだけでは、PCOSとは診断されません。生理は順調で、たまたま超音波で多く見えただけ、という方もいます。診断基準は学会で見直しが重ねられている領域でもあるので、ご自身がどの条件に当てはまっているのかは主治医に確認してください。

生理が来ないのはなぜか|内膜を剥がす合図が出ていない

生理は「排卵したあとに妊娠しなかったから、内膜を剥がしましょう」という合図で起こります。排卵の後にできる黄体がプロゲステロンを出し、それが途切れることで出血が始まります。

排卵しなければ、黄体もできない。合図が出ないので、内膜は剥がれずに残ったままになります。だから生理が来ない。

来ないだけならまだしも、内膜が長く厚いまま放置されると、別の問題が出てくることがあります。生理が3か月以上止まっているときに婦人科で薬を使って出血を起こすことがあるのは、このためです。なので妊娠を目指していない時期でも、放っておかないほうがいいです。

出典

不妊症(排卵障害と多嚢胞性卵巣症候群について)

公益社団法人 日本産科婦人科学会 www.jsog.or.jp

妊娠できるのか|排卵を起こせれば、道は開いている

ここが一番知りたいところだと思います。

PCOSの方の多くは、治療によって排卵を起こすことができます。卵が足りないわけではないので、うまく1つを育てて押し出してあげられれば、妊娠の可能性は開けます。実際に、飲み薬だけで妊娠される方もいます。

ただ、そこに至るまでに時間がかかることはあります。薬の効き方には個人差があり、最初の薬で排卵しない方もいます。「効かなかった」のではなく、その人に合う方法を探している途中だと考えてください。段階を上げていけば、選択肢はまだ先まで用意されています。

治療の進み方|生活の調整から始めて、段階を上げる

おおまかな流れです。どこから始めるかは、年齢・経過・体重・他の検査結果によって変わります。

第1段階:生活の調整|体重が関係している場合は、ここが効く

体重が多めの方の場合、まず減量を提案されることがよくあります。少し落とすだけで排卵が戻る方がいるからです。何十キロも落とす必要はなく、現体重の数パーセントという単位で変化が出ることが知られています。

やせている方の場合は、話が逆になります。極端な食事制限や過度な運動をやめることが先で、体重を戻すほうに動きます。体が飢えていると判断すると、生殖は後回しにされるからです。ジムに通いながら糖質を抜いている、という組み合わせがいちばん止まりやすい。

第2段階:飲み薬での排卵誘発|まずここから始まることが多い

クロミフェンやレトロゾールといった飲み薬で、卵胞を育てて排卵を促します。生理の開始付近から数日間のむ形が一般的です。超音波で卵胞の育ちを確認しながら進めます。

インスリンの効きの問題が背景にある方には、糖の代謝に働く薬が併用されることもあります。保険の扱いは薬や状況によって変わるので、費用が気になるときは処方の前に確認しておくと安心です。

第3段階:注射・手術|飲み薬で反応しないとき

注射のホルモン剤で直接卵巣に働きかける方法があります。効果は強いぶん、卵胞が育ちすぎる副反応に注意が必要で、こまめな通院が求められます。

腹腔鏡で卵巣の表面に小さな穴を開ける手術が選ばれることもあります。手術のあと、しばらく自然に排卵が戻る方がいます。

第4段階:体外受精|卵は採れやすい。ただしOHSSへの警戒がいる

PCOSの方は、刺激に対して卵巣がよく反応します。採れる卵の数が多くなりやすい一方で、卵巣が腫れて腹水がたまる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高くなります。

そのため、採卵した周期には移植せず、いったん全部の受精卵を凍結して、体が落ち着いた次の周期以降に移す方法がとられることがあります。今回は移植しないと言われると、後退したように感じる方もいます。

これは体を守るための判断です。

インスリン抵抗性|やせている人にも起きている

ここは少し踏み込んだ話になります。

PCOSの背景に、インスリンの効きの悪さが関わっていることがあります。

インスリンは血糖を下げるホルモンですが、効きが悪いと体は量で補おうとします。血中にインスリンが多い状態が続くと、卵巣が男性ホルモンを作る方向に傾きやすくなる。結果として、卵が育ちきらない環境ができあがります。

ここで誤解されやすいのが、これは太っている人だけの話ではないという点です。日本人のPCOSは欧米に比べて肥満型の割合が低いとされていて、見た目は細いのに、血糖の波が大きい方がいます。甘いものを食べた後に強い眠気が来る、空腹で手が震える、といった心当たりがあれば、一度主治医に相談してみてください。

病院で確認したいこと

診察は短く、聞きそびれたまま帰ってしまいがちです。次の受診でこのあたりを確認しておくと、自分がどこにいるのか分かります。

  • 3つの診断条件のうち、自分はどれに当てはまっているのか
  • 血糖やインスリンの検査はしたほうがよいか
  • 今の治療はどの段階で、次はどうなるのか
  • 何周期試して反応がなければ、次に進む判断をするのか
  • 体重について指示はあるか。あるなら、どれくらいを目標にするか

最後の「何周期で次に進むか」は、聞いておくと気持ちが楽になります。終わりの見えない繰り返しに感じられるとき、区切りがあるだけで気持ちが楽になります。

鍼灸で見ていること|検査値ではなく、体の状態のほう

ここからは、私たちが体をどう見ているかの話です。

先に言っておくと、鍼でPCOSそのものが消える、という話ではありません。

婦人科は、ホルモンの値と卵胞の育ちという「結果」を見ます。そこに直接働きかけられるのが薬の強みです。鍼灸がその代わりを務めることはできない、と考えています。見ているのは、その手前にある体の状態です。

PCOSの方に多くみられるのは、下腹部から腰にかけての冷えと、緊張の抜けにくさです。卵巣や子宮は自律神経の支配を受けているので、交感神経が優位な状態が続くと、骨盤内の血流は細くなりやすい。生活のなかで眠りが浅い、肩や首が張り続けている、といった形で表に出ていることもあります。

血糖の波が大きい方の場合は、食後の過ごし方や食べる順番の話が中心になることもあります。そこは鍼だけの話ではなく、栄養のほうから一緒に見ていきます。

婦人科の治療はそのまま続けていただいて、体のほうを整える。そこが私たちの役割だと考えています。

今日からできること

  • 血糖の波を小さくする:野菜やたんぱく質を先に、炭水化物を後に。菓子パンだけの朝食を避ける
  • 食後に10分歩く。血糖の上がり方がゆるやかになる
  • 生理が来ない日数を数えておく。3か月以上空いたら受診の目安
  • 極端な糖質制限はしない。排卵に必要なエネルギーまで落ちる
  • 下腹部と腰を冷やさない。腹巻きや湯たんぽで足りる
  • 睡眠時間を先に確保する。夜ふかしはホルモンの波を乱す

全部やろうとしなくて大丈夫です。

食べる順番を変えるだけでも、体は反応します。逆に、あれもこれもと詰め込んで数週間で息切れするほうが、結果的に遠回りになります。長く続けられる1つを選んでください。

よくある質問

Q. PCOSは治るんですか?

体質に近い性質があり、完全になくなるという種類のものではないとされています。ただ、排卵を起こせる状態に持っていくことはできます。妊娠・出産のあとに周期が整う方もいます。

Q. 生理が来ないまま放っておくとどうなりますか?

内膜が厚いまま長く残ることになります。婦人科では、一定期間ごとに薬で出血を起こして内膜をリセットする対応がとられることがあります。妊活を休んでいる時期でも、受診はしておいてください。

Q. クロミッドを飲んでも排卵しませんでした。もうダメですか?

その薬が合わなかったというだけです。別の飲み薬、注射、手術、体外受精と、次の手はまだあります。医師と、次にどう進めるかを話してみてください。

Q. やせているのにPCOSと言われました。おかしくないですか?

よくあることです。日本人では肥満を伴わないPCOSの割合が比較的高いとされています。やせ型の方は、食事量が足りていない、運動量が多すぎる、という側から見ていくことがあります。

Q. ピルをすすめられました。妊娠したいのに飲むんですか?

妊娠を目指していない期間に、周期を整えたり内膜を守ったりする目的で使われることがあります。妊活に入る時期との兼ね合いなので、いつまで飲むのかを主治医に確認しておくとよいです。

Q. 毎日測っている基礎体温が、ずっと低温のままです。

排卵していない周期では、体温は二相に分かれにくくなります。

測り続けること自体は、受診時に経過を伝える材料になります。ただ、低温が続くグラフを毎朝見るのがつらいなら、しばらく休んでもかまいません。

Q. 夫にも何かできることはありますか?

精液検査を一度受けておくと、進め方の判断材料が増えます。排卵誘発を何周期も重ねてから男性側の要因が見つかると、時間を損します。

まとめ

  • PCOSは、卵が足りないのではなく、育ちかけた卵が育ちきらない状態
  • 診断は3つの条件で見る。超音波の所見だけでは決まらない
  • 排卵を起こせれば妊娠は成立する。治療は段階的に上げていく
  • 体外受精ではOHSSに注意し、全胚凍結が選ばれることがある
  • 背景にインスリンの効きの悪さがあることがあり、やせ型でも起こる
  • 生活側でできるのは、血糖の波を小さくすること、冷やさないこと、眠ること

この記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療方針を示すものではございません。

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聞ける場所を作りました

診察室で数字を渡されて、それが何を意味するのか分からないまま帰ってくる。家で検索して、よけい不安になる。それを何周期も繰り返している方が、本当に多いです。妊活って人に言いづらいので、よけいにひとりで抱えてしまうんですよね。

私も同じでした。妻と不妊治療をしていたとき、分からないことを聞ける場所が、どこにもなかったんです。
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次回の日程と内容はこちらのページにまとめています。

私たちも、通う側にいました

代表の前田は、妻と一緒に不妊治療を受けてきました。タイミング法から人工授精まで進んで、検査で自分の側にも原因が見つかったときのことも、判定を待つあいだの落ち着かない時間も、通う側として知っています。なので、寄り添って、二人三脚で進んでいきたいと思っています。

婦人科で進めている治療はそのまま続けていただいて、体のほうを整えるお手伝いをしています。主治医の方針を変えることはしません。まだ迷っている段階でも、話を聞くだけでかまいません。

サクラダ治療室は、東京都北区の東十条院(JR東十条駅から徒歩4分)と、埼玉県さいたま市の大宮院(大宮駅から徒歩5分)の2院です。どちらも院長は女性で、スタッフも全員女性です。通いやすいほうをお選びください。

サクラダ治療室 東十条院のスタッフ|東京都北区・JR東十条駅から徒歩4分・院長もスタッフも女性の妊活鍼灸院
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サクラダ治療室 大宮院のスタッフ|埼玉県さいたま市大宮区・大宮駅から徒歩5分・院長もスタッフも女性の妊活鍼灸院
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まだ決めきれないときは、LINEで

予約するかどうか決めきれない、他の院とも比べている、そういう段階でかまいません。お名前もメールアドレスも要りません。聞いてみたいことがあれば、一言だけでもどうぞ。

何から手をつけるとよいか、先に知りたい方へ

18の質問に答えると、いまどこから整えるとよいかが出てきます。3分ほどで終わって、登録も要りません。結果に出てくる言葉をLINEに送っていただくと、その傾向に合わせた続きをお返しします。

✍ この記事を書いた人
前田 徹弥
前田 徹弥(まえだ てつや)
サクラダライフデザイン株式会社/サクラダ治療室 代表・鍼灸師 | 臨床歴17年

鍼灸の道に入り、10年の下積みを経て独立。妊活・不妊鍼灸を専門に学び、臨床歴は17年。実は私自身も、妻とともに不妊治療を経験しました。「本当に妊娠できるのか」と、何度も不安になりました。その経験があるから、あなたの不安に寄り添えると思っています。一人で抱え込まず、二人三脚で。あなたに合った方法を一緒に見つけ、ゴールまで伴走します。

東京・北区の東十条院と、埼玉・さいたま市の大宮院でお待ちしています。

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