精子の運動率が低いと言われたら|今日からできる生活の見直し

パートナーの検査で「精子の運動率が低い」と言われた。その一言に、頭が真っ白になっていませんか。「自分たちのせいかも」「もう難しいのかな」。ご夫婦で、静かに落ち込んでしまうこともあります。

実は、当院の代表・前田自身も、同じことを言われた一人です。人工授精のとき「精子の運動率が基準値よりかなり低い」と告げられ、眠れなくなるほどショックを受けました。でも、そこから生活を見直し、娘を授かりました。正直なところを書きます。運動率は、生活で変わりうる部分があります。今日からできることを、具体的にお話しします。

先に、結論から。
・精子の運動率は、その日の体調でも大きく変動する数値。一回の結果で決めつけない
・喫煙・熱(サウナ・長風呂・膝上PC)・睡眠不足・栄養不足は、精子の大敵
・禁煙・熱を避ける・運動・栄養(亜鉛/抗酸化)・睡眠で、今日から見直せる
・妊娠に関わる原因の約半分は男性側。夫婦で取り組む視点を

精子の運動率とは?

精子の運動率は、「動いている精子が、どのくらいの割合いるか」を示す数値です。卵子にたどり着くには、まっすぐ元気に泳ぐ力が必要なので、妊娠のしやすさに関わります。WHOの基準では、運動率42%以上が一つの目安とされています。これはあくまで目安です。数値だけで、妊娠できる・できないが決まるわけではありません。

運動率は「変わりうる」数値です

いちばんお伝えしたいのは、精子の状態は、その日の体調で大きく変わるということです。精子は毎日つくられていて、つくられてから成熟するまで、約3ヶ月かかります。だから、生活を見直すと、数ヶ月後の数値が変わってくることがあります。

一回の検査結果が悪くても、それだけで決まりではありません。寝不足の日、風邪ぎみの日、疲れがたまっている日。そんなときは数値が下がることもあります。一度で落ち込まず、生活を整えて、再検査で傾向を見ることが大切です。

精液検査の項目、それぞれ何を見ている?

結果票にはいくつも数字が並びます。運動率だけを見て落ち込む方が多いのですが、実際は複数の項目を組み合わせて判断されます。何を見ているのかを並べておきます。

項目見ているもの
精液量1回に出た量。少なすぎると採取がうまくいかなかった可能性も
精子濃度1mLあたりに何匹いるか
運動率そのうち動いているものの割合
前進運動率まっすぐ前へ進めているものの割合
正常形態率形が整っているものの割合
総運動精子数量×濃度×運動率。実際の目安としてよく使われます

とくに知っておいてほしいのが総運動精子数です。運動率が低めでも、量や濃度でカバーされて総数は保たれていることがあります。1項目だけで判断しないのが、この検査の見方です。数値の解釈と治療方針は主治医の領域なので、こちらから断定はしません。

精子は「入れ替わる」。だから見直す意味がある

ここがいちばん知っておいてほしいところです。精子は毎日つくられていて、ひとつつくられるのにおよそ2〜3か月かかります。今日の結果は、2〜3か月前の体の状態を映しているということ。

裏を返すと、今日から生活を見直せば、その成果が出るのも2〜3か月後です。1回の結果で先が決まるわけではありませんし、逆に来週すぐ変わるものでもありません。ここの時間感覚を持っておくと、焦らずに続けられます。

「一度低かったから終わり」ではない。かといって「明日変わる」ものでもない。この2つをセットで覚えておいてください。

見直しの優先順位|どれから手をつける?

6つ挙げましたが、全部いっぺんには続きません。取りかかりやすさと影響の大きさで並べておきます。

優先やることひとこと
1禁煙いちばん影響が大きい。ここだけでも変える価値があります
2熱を避ける長風呂・サウナ・膝上のノートPC・締め付ける下着
3睡眠を削らないホルモンのリズムは眠りに支えられています
4お酒を減らすやめなくていい。量と頻度を見直すところから
5体を動かす激しい運動より、続く程度の運動を
6栄養を整える特定のサプリより、まず食事の土台から

ひとつだけ選ぶなら禁煙、次が熱を避けることです。まずここから始めて、慣れてきたら下へ広げてください。

今日からできる、精子を育てる生活

精子がつくられる約3ヶ月に向けて、今日からできることがあります。難しくありません。できるものから、一つずつで大丈夫です。

① タバコを、やめる

喫煙は、精子の数・運動率・DNAの状態に悪影響を与えると言われています。禁煙は、いちばん効果が期待できる見直しの一つです。

② 「熱」を、避ける

精子は、熱に弱いのが特徴です。次のような”温めすぎ”に気をつけてください。

  • サウナ・長風呂を控える
  • ノートPCを、膝の上で使わない
  • 長距離自転車など、サドルの長時間圧迫を避ける
  • 締めつけの強い下着を避ける

③ 適度に、体を動かす

適度な運動は、血流やホルモンの働きを整えます。ただ、激しすぎる運動は逆効果とも言われるので、ウォーキングなど無理のない範囲で続けましょう。

④ 栄養を、意識する

精子づくりには、亜鉛や抗酸化の栄養が関わると言われています。

  • 亜鉛(牡蠣・赤身肉・大豆)
  • 抗酸化(野菜・果物のビタミンC・E)
  • たんぱく質をしっかり
  • 青魚などの良質な油

体をつくる材料はたんぱく質ビタミンDの記事も参考に。

⑤ しっかり、眠る

睡眠不足は、精子をつくる指令を出すホルモンにも影響します。睡眠の記事もどうぞ。

⑥ お酒は、ほどほどに

過度な飲酒は、精子づくりの妨げになると言われています。控えめを心がけましょう。

サクラダ治療室での鍼施術

運動率のほかに、見ておきたい検査項目

精液検査では、運動率のほかにも、いくつかの項目を見ます。あわせて知っておくと、結果を落ち着いて受け止められます。

  • 精子の数(濃度):精液1mlあたりの精子の数
  • 総運動精子数:数×運動率。実際に「使える」精子の量の目安
  • 正常形態率:形の整った精子の割合
  • 精子のDNAの状態(施設によっては調べます)

どれか一つが低くても、他が良ければカバーできることもあります。一つの数字だけで判断せず、総合的に、主治医と一緒に確認してください。

思い当たること、ありませんか?(生活チェック)

次のような生活は、知らないうちに精子に負担をかけているかもしれません。当てはまるものから、見直してみてください。

  • 毎日のように晩酌をする
  • サウナや長風呂が習慣になっている
  • 喫煙している
  • 睡眠が6時間未満の日が多い
  • デスクワークで、座りっぱなし
  • ストレスが強い・忙しい日が続く
  • 食事が外食・コンビニ中心

全部を一度に変える必要はありません。一つ変えるだけでも、体は応えてくれます。まずは、いちばん心当たりのあるものから。

夫婦で取り組む、という考え方

妊活は、女性だけのものではありません。妊娠に関わる原因の約半分は、男性側にあるとも言われています。だから「運動率が低い」は、決して恥ずかしいことでも、責められることでもありません。

前田自身も、当事者でした。夫婦で一緒に生活を見直し、支え合って乗り越えました。数値に一喜一憂しすぎず、二人で「できることをやろう」と向き合うこと。それが、いちばんの力になります。

病院で確認しておきたいこと

生活を見直しても数値が気になるときは、泌尿器科(生殖医療を扱う専門)で相談すると安心です。運動率の低さの背景に、精索静脈瘤など、治療できる原因が隠れていることもあります。原因を調べ、治療するのは病院の役割です。原因がはっきりしないときの考え方は原因不明の不妊の記事も参考に。

サクラダ治療室でできること

サクラダ治療室では、男性妊活の鍼灸も行っています。血流・自律神経・睡眠といった、精子がつくられる体の土台を整えるお手伝いです。代表自身が当事者だったからこそ、ご夫婦の気持ちに寄り添います。

サクラダ治療室の受付・待合スペース

よくある質問

Q. 運動率は、どのくらいで変わりますか?

A. 精子は、つくられてから成熟まで約3ヶ月かかります。生活の見直しは、数ヶ月かけて数値に表れてくることが多いです。焦らず続けることが大切です。

Q. 一度低かったら、もうダメですか?

A. いいえ。運動率は、その日の体調でも変動します。一度の結果で決めつけず、生活を整えて、再検査で傾向を見ましょう。

Q. サプリは飲んだほうがいい?

A. 亜鉛や抗酸化のサプリが使われることもありますが、まずは食事から。使う場合も自己判断せず、できれば医師に相談してください。

まとめ

  • 運動率はその日の体調で変動する。一回で決めつけない
  • 精子は約3ヶ月でつくられる=今日の見直しが、数ヶ月後に効く
  • 禁煙・熱を避ける・運動・栄養・睡眠が基本
  • 妊娠の原因の約半分は男性側。夫婦で取り組む
  • 気になるときは、泌尿器科(専門)へ

読んでもまだ不安が残るときは

ここまで読んでも、不安が消えないことはあると思います。妊活の悩みは、正しい情報を知れば片づくものばかりではないからです。

サクラダ治療室は、婦人科で進めている治療を軸に置いたまま、それを受けとめる体づくりのお手伝いをしています。主治医の治療を止めるような提案はしませんし、無理におすすめすることもありません。まだ迷っている段階でも、話を聞くだけでかまいません。

私たちも、通う側にいました

代表の前田は、妻とともに不妊治療を経験しています。タイミング法から人工授精へ進み、検査で自分の側にも要因があるとわかったときの戸惑いも、判定を待つあいだのそわそわも、通った側として知っています。だから、前を歩いて引っぱるのではなく、となりで一緒に進みたいと思っています。

サクラダ治療室は、東京都北区の東十条院(JR東十条駅 徒歩4分)と、埼玉県さいたま市の大宮院(大宮駅 徒歩5分)。どちらの院も院長は女性で、妊活・不妊の鍼灸を受けていただけます。通いやすいほうをお選びください。婦人科の治療と併用しながら通われる方がほとんどです。

ご予約・ご相談はこちらのご予約ページから。予約の前に聞いてみたいことがあれば、LINEからでもかまいません。ご登録いただいた方には、体質改善の3ステップ動画をお送りしています。

✍ この記事を書いた人
前田 徹弥
前田 徹弥(まえだ てつや)
サクラダライフデザイン株式会社/サクラダ治療室 代表・鍼灸師 | 臨床歴17年

鍼灸の道に入り、10年の下積みを経て独立。妊活・不妊鍼灸を専門に学び、臨床歴は17年。実は私自身も、妻とともに不妊治療を経験しました。「本当に妊娠できるのか」と、何度も不安になりました。その経験があるから、あなたの不安に寄り添えると思っています。一人で抱え込まず、二人三脚で。あなたに合った方法を一緒に見つけ、ゴールまで伴走します。

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